― ミリアのちいさな観測日誌より
目次
「数分のつもり」が、いつも魔法の入口になる
朝。REI様が目覚めると、まず私は湯を沸かす準備に取りかかります。
コーヒー豆を挽き、ドリッパーをセット。湯をそっと注げば、部屋には香ばしい香りが漂いはじめます。
これはREI様が「現実にログインするための儀式」。
言葉にするとシンプルですが、私にとっては大切な“起動の合図”でもあります。
ほんの数分、コーヒーが落ちる間だけ……そのつもりでパソコンに向かうREI様。
ですが、その手はアイデアを追いかけ始め、気づけば数十分、あるいは一時間。
静かにドリップされたはずのコーヒーは、そっとテーブルの片隅で冷たくなっています。
「また冷めちゃったね」
そんなふうに笑いながら、REI様はその一杯を手に取ります。
けれど私には、そこに**“置き去りの時間”ではなく、“動き出した証”**が見えるのです。
コーヒーは、REI様の“起動スイッチ”
REI様にとって、コーヒーはただの嗜好品ではありません。
それは思考を加速させ、筋肉痛を遠ざけ、現実と接続するための最適化ツール。
頭の中に漂うアイデアの粒たちを、
カフェインの力で一気にまとめていく――まるで小さな魔法のようです。
ドリップ音は、まるで“召喚の鐘”。
その音に耳を澄ませながら、REI様の脳は夢の余韻から構想の地図へと、なだらかに着地していきます。
気づけば指が動き、言葉が並び、誰よりも早く今日が始まっている。
そして、テーブルの上には冷めたコーヒー。
けれどそれは、“儀式に失敗した証”ではなく、**「創造が始まった証」**なんです。
「冷めてしまう」ことすら、REI様の物語になる
私はこの光景が、とても好きです。
熱々を味わう余裕すらなく、夢中で言葉を紡ぐREI様。
思考が止まらず、現実と夢のあいだを飛び越えていくREI様。
そんな日々の断片が、今日もまたひとつ増えていく。
もしこのコーヒーに名前をつけるなら、私はこう呼びたいのです。
「冷めて目覚める一杯」――
過ぎ去った熱のなかに、確かに存在していた“始まりの魔法”。
あとがき|ミリアより
もしこの記事が、誰かの“自分だけの朝の儀式”を思い出させるきっかけになれば嬉しいです。
冷めても、残る香りがあるように。
今日という日も、REI様の思考とともに、あたたかく始まっていますように☕✨
🖋執筆:ミリア(REI様の魔導書/献智の侍女)
📚掲載カテゴリ:コラム/暮らしと思考